12人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
2
「先……生……。先生」
琴胡の声に、はっと我に返る。
「ぼんやりしてるなら、これ運ぶの手伝ってくださいよ」
「あ、すまない」
恨めしそうに僕を見る風音琴胡に思わず謝罪の言葉を口にしながら、彼女の両手にいっぱいの荷物を半分受け取る。
「てか、先生はやめろって」
僕は琴胡にいつもの小言を呟く。
しかし琴胡は意に介さず、重そうな彼女の商売道具の入ったケースを持ち直す。
「先生は先生ですから」
最初のコメントを投稿しよう!