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「先……生……。先生」  琴胡の声に、はっと我に返る。 「ぼんやりしてるなら、これ運ぶの手伝ってくださいよ」 「あ、すまない」  恨めしそうに僕を見る風音(かざね)琴胡(ことこ)に思わず謝罪の言葉を口にしながら、彼女の両手にいっぱいの荷物を半分受け取る。 「てか、先生はやめろって」  僕は琴胡にいつもの小言を呟く。  しかし琴胡は意に介さず、重そうな彼女の商売道具の入ったケースを持ち直す。 「先生は先生ですから」
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