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しかし、頑張ろうと思ったからできるようになる、なんていう都合の良い話なんてあるはずもなく。
いつまで経ってもシャボン玉は赤くならない。
そうだ──そもそも、努力の仕方が分からない。今まで努力をした事などなかったのだから。
『だってカッコいいんだよ! レンジャーレッド!』
そんな理由の為に……と考え、首を横に振る。
彼らはレッドを待っている。
長くは生きられないというあの子と、その家族が。
諦めずにシャボン玉を吹く。赤を思い浮かべ続けて。
隣では、琴胡が固唾を飲んで見守っていた。
しかしどうやっても吹けない。
吹き方を思い出せない。
赤だけが、吹けない。
ただいたずらに、時間ばかりが過ぎていく。
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