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意識がうっすらと戻って来た時、あたしは横穴の奥、羊歯の寝床の上に寝かされていた。視界はぼんやりとしていて、身体を動かすことは全くできなかった。あたしは今どうなっているの? 少しずつ見えて来た光景はあたしがもっとも望んでいないものだった。
横たわったあたしのすぐそばにナギが座り込んでいる。彼はあたしの足の上にかがみこみ……、
『だめ、そんなことをしたらお前は……』
心の叫びを声にすることはできなかった。
ナギはあたしの足に刺さった棘を指先でつまんで抜いていく。一本ずつ丁寧に。彼の指に血が滲んでいた。絶望の中、あたしは再び意識を失った。
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