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次に意識が戻った時、あたしの身体には猪の毛皮が掛けられていた。手足を動かしてみる。ゆっくりとなら動かすことが出来るようになっていた。
あたしが意識を回復したことに気付いたナギが笑顔を向けてきた。ずいぶん心配したとも言った。だけど、もうすべてが手遅れだった。あたしには言葉を返す気力がなかった。
ナギは柔らかく煮た食べ物を食べさせてくれた。あたしを抱きかかえるようにして支え、匙をあたしの口元まで運んでくれる。前だったら拒絶していたやり方だけど、もう拒絶する意味はなかった。あたしはおとなしく差し出されたものを食べた。
そうした暮らしが数日続き、あたしはようやく歩くことが出来るくらいまで回復した。あたしはナギに全てを話さなけれはならなかった。
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