4章 自分の幸せ

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「愛月じゃなきゃダメなんだ、俺」 「嘘! 他の女性とも付き合っていたんでしょ」  それって私以外の女性ともベッドを共に……  私は優陽を振り切り、駅へと向かおうとした。けど行く手を優陽の左腕に阻まれてしまう。 「愛月を忘れようとした。でもできなかった」  もう一度唇が重ねられる。今度は拒めず……拒まずに受け入れた。  キスが唇から耳へ移動してくる。少しくすぐったくって身を捩った。 「愛している。愛月は?」 「私は……」  でも頭に浮かんだのは弟たちのことだった。  まだ独り立ちしていない弟がいる私では昔と同じになる。 「そろそろ自分の幸せを考えてもいいんじゃないのか?」  自分の幸せ? 「私は幸せだよ」 「そうじゃなくて、女としての幸せだよ」  優陽がまた私を抱きしめる。 「だめだよ」  でも口からでた言葉とは裏腹に、私は優陽の背中を抱きしめていた。
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