5章 閉め出された夜

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「だから姉ちゃんの部屋に鍵がかかっているんだよ」 「……」  蒼海がオレに背を向け再び寝ようとするがそうはさせない。 「寝るなよ。姉ちゃんが部屋に鍵をかけるなんて絶対におかしいって。何かあったんだよ」 「……男ができたんじゃねぇの」 「お、お、男!?」  慌てて蒼海を揺り起こす。 「うるせぇな。昨夜バイト先に元彼と飲みに来たんだよ」  元彼、元彼、元彼――オレの頭の中でリフレインする元彼という言葉。  頭に元が付いていても彼だ。  ってことは、付き合っていた頃には姉ちゃんとキスしていたのか?  オレはまだなのに!!  いや、それだけじゃない。もっとオレの知らない世界を経験しているかもしれないってことだ。  つまり姉ちゃんとやっ…… 「てるってこと!?」 「あっ?」 「やっぱり事件だ!! 想兄~!!」 「おい、待て! 死にたいのか!」  だが蒼海の制止も聞かず、オレは部屋を飛び出した。
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