5章 閉め出された夜

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「想兄大変だ!!」  部屋のドアをノックもせずに勢いよく開けて入る。  しかし想兄はピクリとも動かない。 「想兄起きて、事件なんだよ」  揺り起こしても起きる気配がないので布団をめくってみた。 「うわぁ~!?」  オレは後ろに飛び退いた拍子に尻餅をついてしまう。そしてそのまま動けなくなってしまった。 「……」  布団から目だけが出ている想兄の顔が怖い。目が怖い。男版ゴルゴンだ!  目だけで動きを封じられてしまった。  姉ちゃんの件で動揺していたせいで忘れていた。  想兄は寝起きが超絶最悪だ。本人もそれが分かっているから、姉ちゃんが起きる一時間前に目覚ましをセットしている。  しばらくボーっとしてから、いつもの菩薩顔で起きてくるのだ。  だがひるんでいる場合ではない。
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