2章 朝練

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2章 朝練

 ボールの弾む音が響く朝の体育館。  今朝の失態を忘れるため、オレはいつも以上にバスケの練習に集中する。  大人の男になりたいと思っているのに、どうしても気持ちが身体が……  特に身体が勝手に反応してしまう!  普通はベッドに男が忍び込……もとい、一緒に寝ていたらドキっとするんじゃないだろうか?  もしかして、もしかしなくともオレは男として意識されていないのか?  膝から崩れ落ちそうになる。いけない、今は練習中だ。  しかし気が散っているのはオレだけではないようだ。  体育館の入り口に女子の見学者たちがいる。  その内のひとりが、守たちがめちゃ可愛い子が入学してきたと騒いでいた子なのだ。  当然奴らは気もそぞろ。  目で追っているのはボールではなく、入り口の女子。 「ほら、おまえら集中しろ!」 「はい!」  正直なところ迷惑なんだよなぁ。  すると案の定気もそぞろな奴がパスを取り損ね、ボールが女子たちの元へすっ飛んでいった。  よそ見をしているからだ。  間に合うか!? 右手を目一杯伸ばす。寸前のところでボールをカット、ギリギリセーフ。 「おまえら気をつけろ!」 「すみません!!」
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