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5章 閉め出された夜
今は草木も眠る丑三つ時……ではない。
そう、これは決して夜這いではないのだから。断じて違う。
だからオレは夜が白白と明ける時間帯をいつも選んでいる。
あくまで、寝ぼけて姉ちゃんのベッドへ忍び込み……
もとい、入って一緒に寝てしまうだけなのだから。
昨日は姉ちゃんの帰りが遅くて話ができなかった。だから一杯充電しないと。
オレはにやけてしまう顔を引き締め、姉ちゃんの部屋のドアノブをそっと下げる。
「あれ?」
ドアノブが下がらない、というか動かない。
「壊れたのか?」
何度か試してみるが、一向に下がる気配は無い。
もしかして、鍵がかかっている!?
今まで何度も忍び込み、じゃなくて間違えて姉ちゃんの部屋へと入ってきたが、一度も鍵をかけられたことはない。
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