ー4:高揚感のその先ー

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ー4:高揚感のその先ー

ー4:高揚感のその先ー 値動きは見ていて面白い。 上に行ったり下に行ったり、激しく動いたかと思うとゆっくりになったり。 起動して数分経ったところで、ツールが反応した。 ん?? 今、買ったの?売ったの? 口座を見ると500円ほど口座が増えていた。 こ、これは!? 信じられない・・! 自分は最初にボタンを押しただけなのに、勝手に利益が出ている! 体が熱くなるものを感じた! 胡散臭いと思ったあのサイト。 実は本物だったのかもしれない、俺はついに手に入れたのだ! 秘密の収入源を!! その後、俺は 毎日パソコンに向かい、利益はついに1万円を超えた。 月給制の俺は1万円プラスになるだけでもありがたい。 このままで行けば・・・思わず口元がニヤけてくる。 ある日、妻は俺の気持ちの変化を察したのか、「なんか最近いいことあった?」と顔をのぞかせた。 やっぱり女性は鋭い。 でも、ネットで凄いものを手に入れた、なんて言う勇気はまだ無い。 「気のせいじゃない?」わざとそっけなく答え、書斎に戻った。 今日もいつものようにパソコンを立ち上げ口座を見ると おかしなことが起こっていた。 ?? 残高が減っているのである どうやら売買が上手くいってないらしい。 履歴を見たら損ばかり重ねている。 買ったと思ったら下がり、売ったと思ったら上がる。まさに真逆。 でも投資に負けは付き物、と追加資金を入れる。 最初に勝った時の感情が忘れられなかったのだ。 しかし全てが裏目に。 それ以来、小さな勝ちはあるものの、一発の負けが大きく、負けが続き みるみるうちに資金は減っていった。 ついに勝率は30%を割り込んだ。 「おい、どうなってるんだ?!あのサイトには勝率90%以上って書いてあったじゃないか!」 そこでサイトの連絡先に電話して問い合わせることにした。 繋がらない。 仕方なく、メールを送って説明を求めた。 3日も待った挙句、たった1行だけのメールが届いた。 「投資は自己責任となり当社では責任を一切負いかねます」 いやいやいや、そこじゃなくて。。。汗 その後送っても全く返信が来る様子もなく音信不通。 ついに資金も全て無くなった。 想い描いていた煌びやかな世界はガラガラと音を立てて崩れ落ち、 残ったのは目の前にある無機質な機械の箱(パソコン)だけだった。 俺が「その事」に気づいた時にはもう遅かった。 『騙・さ・れ・た』 続く:
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