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嘘と遺伝
案の定、帰って母さんに花束を渡すとものすごく喜んだ。
1万円超の花束なのでかなりの量なのだがあのおばさんのセンスの良さでとてもまとまって母親好みの精錬された花束になっている。
「悠馬、ありがとね!
ていうか、これどうしたの?改心?」
「いや、母さんも父さんも最近仕事で忙しそうだから。
いつも母さんたちはお小遣いくれるから少しは母さん達のために使ってもいいんじゃないかと思って。」
「嬉しいわ。ありがと。
父さん、ちょっと今悠馬に言い過ぎたって落ち込んでるからちょっと言ってくるわね、悠馬が素敵なお花を買ってきてくれたわよって。」
「うん。」
母さんは少女のようにはしゃいで、また父さんの自室に行った。
俺の嘘に気づかないで、純粋に喜んでいた。
俺の顔つきは母親譲りだ。
母さんはクオーターらしく、お世辞抜きで綺麗な顔をしている。
だから、花屋のおばさんが言ったように俺も綺麗な顔つきなんだろう。
なんか少し、こそばゆくなった。
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