夕暮れの思い出

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そんな事を思うようになったのはいつからだろう。 憎しみとか嫌悪とか、そういうものではない。 むしろ僕は彼女が大好きだった。 大好きで、 大好きで大好きで、 たまらなく好きでしょうがなかった。 彼女と遊ぶ日々が、毎日が大好きで幸せだった。 彼女はとても美しく、 真っ赤で宝石のような瞳、絹のような真っ白な髪、雪のような透き通る白い肌。 この世のものとは思えない容姿と、儚げなオーラを纏っていた。 それは幼い僕にでもわかる圧倒されたもので、いつだって目を奪われた。 彼女はとてもか弱く、日に当たることは出来ず、 夕暮れ時になる頃にようやく空の下で自由になることができる。 日が暮れてから暗くなるまでの数時間、その数時間が僕と彼女のとても楽しい時間だった。 ある日、彼女といつものように遊んでいたら、彼女が転んで膝をすりむいた。 白い肌にうっすらと滲んだ血はどんどん赤の色を増して、そして零れてく。 その光景を見た、そのときから僕の頭の中はいっぱいになっていた。 彼女の肌を切ったら綺麗に血が流れるのだろうか。 また前みたいに擦りむいたら血が出るのだろうか。 彼女の腕を、脚を折ってみたのなら。 彼女を殴りつけたのなら。 彼女の首を絞めたのなら…… 彼女から零れる赤い色が見たい、 彼女から発せられる悲痛な音が聞きたい、 彼女の歪む顔が見てみたい、 彼女が事切れるその瞬間を── いつしか、そんな考えばかりが僕の頭の中を駆け巡っていた。
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