小説を深読みしたら嫌われました

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 アスファルト道路は、雨で水溜りを作るために存在する。主人公は、雨の匂いや湿気に敏感である。  空については、仄かに白く、橙色など細かく見極める。  植物については、固有名詞を知っており、雑草とは言わない。樹木の葉はほぼ必ず揺れる。枝木は陰を作るために存在する。そして、主人公は、葉や枝木の揺れ具合を細かく観察している。  空気の温度、風、湿度など、登場人物は、動くアメダスのように、雨に叩かれても、風で体が傾いても報せる。レポーターとしては、もってこいだ。  季節に合わせ服を変えている。これは少し難しいだろう。夏は太陽に焦がされ、冬は寒さで凍える。女性登場人物は、日焼けを気にする。これは使えそうだ。  男性主人公は日に焼けている人もいるが、女性主人公は日焼けしている人は少ない。  息は呑んだり溜める。肺活量の検査のようだ。足については、そのときの感情によって、歩幅や歩くスピードが大きく変わる。これは使えそうだ。  目の色は青、緑、黒ではなく、翡色、黒曜石のような黒色、茶色は栗色などと言う。カラーコンタクトで試してみよう。  耐えず五感をフルに発揮していても、不意に我に返る。はっと我に返ることが多い。これも使ってみたい。  どんなにお酒を飲んでも、大丈夫な酒豪が多い。ただし、女性主人公は、少量で酔っ払い、頬を赤らめ、「わたひぃ、ほえ?」など、ろれつが回らなくなる人もいる。これもやってみよう。  虫は飛びまわり、鳴き声や羽音を、聞かせるために存在する。殺虫剤の使用は厳禁だ。蚊取り線香はたまにあるが、電子蚊取り機や殺虫ラケットが登場する作品は少ない。これは同じだ。  タバコの煙は紫色である。これはやめたほうが良いだろう。
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