三兄弟の朝

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三兄弟の朝

フライパンに卵を落とすと、ジュウッという小気味良い音が耳を突き抜けた。 ふわり、とどことなく良い匂いも漂い、無意識に喉が鳴る。 それと同時にお腹も大きな音をたて、キョロキョロと無意味に周りを確認してしまった。 小鳥の歌声、桜の香り……は嘘だけど。 毎日香る玉子焼きの匂いすら、平和の象徴に思えてしまう。 そんなことを思いながら、フライパンをリズミカルに叩いていた。 「おはよー。」 すると、まだまだ眠そうな中学二年生の長男、暁斗が階段を降りてきた。 フラフラと酔っ払いのような千鳥足で歩いていて、とても危なっかしい。 「おはよう。顔洗ってきなよー。」 既にソファーで二度寝しようとしていた暁斗に声を掛ける。 二度寝すると全然起きないからね。 「んー。」 「ついでに雅も起こしてきてー?」 雅は、小学三年生の次男。 雅の寝起きの悪さは天下一品だ。 むやみに近付くと、朝は機嫌の悪い雅の足が飛んでくる。 だから、起こすのは暁斗担当。 可哀想だけど、男の子だから、なんて。 「ふぁーあ……。」 大きな欠伸をしながら洗面所に向かう暁斗。 「んー、ましゃー。」 そして、その数分後に起きてきたのは、我が家の姫、三才の真綾。 「ましゃはー?」 真綾は雅が大好き。 暁斗と違って、同じテンションで一緒に遊んでくれるからだと思う。 まあ、三才児と同じテンションの雅には呆れるけどね。 「雅は暁斗が起こしてきてくれるから、待っててねー。」 「まあちゃんも行くー!」 小さな体が二階へ逆戻り。 「もー……。」 朝から元気な真綾に溜め息を吐いて、いつもより歪な玉子焼きを切っていく。
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