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私の住む町は古き物を大切にする。そのためか、そこら中に質屋や古書店が立ち並び、戦争や災害の爪痕を残す建物に未だ人が住んでいる。 私はこの町の埃臭さを愛し、この町で生涯を終えることを既に心に決めている。 この度私が体験した話を決して誰かに話そうなどと考えてはいけない。私がここに綴るのは、私一人がこの秘密を抱えるには大変負担となるためである。 もし万が一、誰かがこの手記を手にしてしまったのであれば今すぐに引き返し、燃やしてしまうことをおすすめする。それでもなお、読み進める者があるならば秘密の共有者として、私はぜひあなたを迎え入れよう。
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