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私は元々ここよりもずっと田舎に住み小説家として生計を立てていたが、女手一つで私を育てあげた尊大な母の死をきっかけに、母の生まれ育ったこの町にやって来た。 町にやって来てすぐ私は住む家を探さねばならなかったが、これに関しては私のいとこにあたる男が下宿を紹介してくれたため、しばらく生活に困ることは無かった。 そのいとこ(これ以降はXとする)は、友人から管理を任された下宿で静かに暮らしていた。Xは私よりも二つ歳が上で、頭の良い男であった。おまけに、私が執筆した小説を全て読み尽くした唯一の理解者であった。
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