双子

｢いっせーのーで、で、お互い点数見せるんだからね。絶対だよ。｣
｢分かってるよ。今回も確実に由麻に勝ってるわ。｣
｢そんなのわかんないでしょ、恵麻。いくよ。いっせーのーでっ！」
恵麻:98　　　　
由麻:81
｢あ”－－－－－－－－－－－－また恵麻に負けたぁぁ｣
｢やっぱ私に勝とうなんて1万年早いね由麻。残念。｣

佐山家の長女、次女は双子。その次女として生まれたのが、由麻。私だ。
私は顔立ちもスタイルも、勉強もスポーツも、フツー。
それに比べて長女･恵麻は、容姿、勉強、スポーツ、性格、全てがそろっている。
パパもママも美男美女でなんでもできたって聞いたから、そのDNAが全部恵麻にいったのだろうか。
一卵性双生児で産まれたら顔だけでも恵麻と同じになれたかもしれないのに。二卵性双生児で産んだママを恨む。

友達も親戚も親も皆、恵麻に期待してる。私が好きになる男子も、皆恵麻のことを好きになる。学校の先生はいつも、恵麻をひいきする。習い事を同じ時期に始めても、恵麻の方が先に上達する。私はいつも、恵麻の陰に隠れてて。誰も私に振り向いてくれない。

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あーあ。これだからバカな妹は嫌なんだよね。
いっつも低い点数とってさ。一緒にいる私までバカだと思われるじゃん。
それにいっつも恵麻恵麻恵麻恵麻、ってうるさいのなんの。金魚の糞みたいに私の周りをうろちょろうろちょろ。双子だからって勘弁してよね。うっとうしい。
あんたは私に一生勝てっこない。

周りの皆は私がオールマイティになんでもできる子、おまけに性格も良いなんて思ってるみたいだけど、本当は違う。オールマイティになんでもできるってのは認めてあげてもいいけど。性格は自分で言うのもなんだけどクズ。
今だって妹の由麻のことをボロカス言ってたでしょ？今のが本当の私ってやつかな。

昔から、由麻より勉強もスポーツも習い事もすんなりとうまくいった。
由麻のできがあまりよくなかったから、尚更皆から褒められた。
恋愛も、由麻の好きな子から告られる。幼稚園でも、小学校でも、最近も。別に好きじゃないけど、わざとOK出したら、案の定由麻が悔しそうな顔しててざまあみろだ。

私は、あなたが嫌い。
あなたも、私が嫌い。

ほら、目が合った。

｢これからも、仲良くしようね。｣
｢当たり前でしょ。｣

私たちは、正真正銘の家族なんだから。
私たちは、正真正銘の双子なんだから。

だってこんなにも気が合うことがそれを証明してるでしょう？