少女K

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「春日井未来と申します。市内で探偵事務所を開いてまして永作康太警部いらっしゃいますか。」アポすら取らず唐突に警官の名を出すもんだから受付は怪しみブツブツ小言いながらも永作に取り次いだ。「2F休憩室で待つそうで階段上がって突き当たりを、、、。」親切な受付嬢の説明をぶったぎり彼女はさらりとした身のこなしでさっさと階段を駆け上がり何事も気にとめずその場から姿を消す。明るい陽射しが射す廊下が見える、その中央隅部屋と部屋の間のデットスペース。硝子越しにたっぷりと髭を携えた男が1人、見た感じは若白髪まじりで浅黒い皺が目立つ40代半ば~50代前半にさえ見えなくもない。しかしながら未だ独身の30代半ば、男の名は 永作康太。 「警部殿は中々忙しくなられてなによりで、それにしても電話やメールも返事がないとどうゆういわれだ康太。」「ははぁ、いやこっちもてんてこ舞いでしてそれにしてもいつになくお綺麗で元上司殿。」「全く口が減らないやつだな、それにしても痩せすぎじゃないか。」相変わらずの憎まれ口は変わりないものの、以前あった覇気は影を落とし頬はコケて見ようによれば無様にさえ感じる。 「例の航空機の事件なんですが、全く意味不明でお陰様でバタバタの人生進行中ですかね。」「まぁ大変なことでもちゃんと休め、鏡で顔見てみろお天道様もたまげる。そんな事だろうと思って例の計画はこっちで進める。」渋りはしたもの永作は口外無用と言い残し数分消えたと思えば何処からか数枚のコピー用紙引っ提げてきた。「いいですか。例のイザナミに繋がる唯一の手掛かりです、はたまた煙のように消えてなくなるかも。」「そんな事分かってる、ただ元の小太りのお前と飲めたらそれでいい。そうやって気遣ってみるがまぁ元気でな。」
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