少女K

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少しばかり緩んでいた永作の顔もこの時ばかりはしゃんと真剣な目付きで春日井未来の顔を見つめた。一方で彼女の方はぶっきらぼうのいつもの表情とは違い、ただただ清々しいほどの笑顔だった。 「一体何分待たせるのよ、連絡もよこさないし。このまま帰っても良いんだからね。」電話口では苛立ちをもろに浴びる。どうやらご立腹ようで辿り着いても怒号の的になるのは確か、40分強のロスタイムは私事、白城雪奈にとって想定外。ただ目の前の歩道橋を身体が許す限り懸命に下る、さぁ目的地は目と鼻の先寝起きから浅い身体鞭打ちながらやっと辿りついた。中世ヨーロッパ、まるでおとぎ話で広がっているような古いお城見たく立派でそこに使い古されたブリキの看板にはFLEURETTE と書かれている。前評判どおりのお洒落なお店、雪奈は意を決して髪をクシャクシャにする。「いらっしゃいませ、何名様ですか。」中に入ると可愛いレースにフリルが入った可愛い制服の店員、元気よく予約席へ案内してもらうと此方を睨む彼女達がいた。態とらしくもハァハァと息切れを付き席についた。「白城さん、いい加減にしてよね、貴女から約束してきたくせに1時間近く待たせるなんて。でもまぁそんだけ急いでくれたなら許すけど。」眉間に皺を寄せる今流行りの灰色がかった髪のショートボブの彼女三島美樹その隣で苦笑い浮かべる赤茶の肩に掛かるセミロング笹原梓。「ごめんなさい、遅くなってそれにしても二人とも髪の毛決まってますね。」謝ると同時に軽く褒めるすると魔法にかかったみたいに2人の霧が晴れていく。ただ気を良くしすぎたようで聞いてもいないファッションのひけらかしさえ始まった。 チョロい。先輩方には悪いが、掌握術には少しばかり自信がある伊達に1年から生徒会役員を務める事ある。第一に少しばかりの悪印象その後好印象もしくは上手く取り繕うとすると不思議なことに相手はよりよい人にみえる。名付けて不良子犬作戦。私にとて掌握術の1つである。
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