少女K

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少女K

それは突然。声をあげるよりも先に浮遊感が身体全体を包み、全身の毛が与奪ってこういう事がいうんだと思う。危険を察知してなのか激しく心臓が脈打つそれは今まで感じた事のない。一瞬で頭上から降って湧く、まるでドラマのワンシーンを見てるかの如く脳裏に今まで出会った人がうっすらと過ぎ去っていく。多分俗にいう走馬灯なのかも小説の1篇みたく綺麗で美化されたものではない。風船を割った時みたく呆気ないもので、、。私の視界はまもなく暗転した。 痛い、凄くいたい。例えようもない痛みと葛藤しながらも無理矢理にでも目を見開く相も変わらず暗闇の中、うっすらと見覚えのある景色が飛び込んでくる。咄嗟にまだ生きてる、「助けを誰か呼ばなきゃ、、。」と思ったが息を付くのがやっとで声は出る事はなかった。何故なら息着くのがやっとで声にはなり得なかった。 その4日後、時刻は丁度昼の12時回った頃 市内某所。 「悪い新、今日は頼み事あってな。他にでもないお前にしか頼めないくて」それが彼女の第一声。「何ですか、わざわざ持ち上げて。どうせろくでもない如くまた押し付けようとか考えてませんか」「いやいやそんな事はない、まぁ何だ驕りだから好きなだけ食っていいぞ遠慮はいらん。」此方としては春日井未来から珍しくご飯を驕るというのでお高い料理を期待していたがその淡い期待はパッと弾けてとんだ。蓋をあければ何の事ない市内のファミレス、店内は時間も手伝い和気あいあいとした家族に忙しく駆け回るウェイターがフラフラとほとんど空席がない程ガヤガヤと賑わいを見せる。 彼女は不服そうに辺りを眺めていたのに気づいた。「何だ不満か、まぁ仕方あるまい。最近は滅多の事はないしな、 前の下らん素行調査の依頼料もあんまり分取れなかったし嫌ならいいんだぞ。このまま帰って」「いいえ、有り難く頂戴します。」彼女の気が変わらぬように2つ返事。また上手いこと載せられ面倒を押し付けられそう、依然にも前歴が確かにある。あれは確か薄汚い私欲まみれのいわゆる浮気調査とは一味違った、どんよりと薄く暗い雨模様のある日。「新、中々筋が良くなってきたな。教え方がいいのか、いや元々の出来が良いんだな優秀な部下を持つとやはり違うな。」「何ですか。急にお世辞と言えどそんな風に褒められるとは嬉しいです、ありがとうございます。」 職場先から足早に去りながら車へ乗る対象者の女。普段は化粧けもないっていうのにあからさまの出で立ち家路とは逆方向へアクセルを踏み続けているそいつを塩梅を取りながら尾行を続ける、その横でつまらなそうに携帯のパズルゲームに勤しむ春日井。 ふと手元を止め春日井未来は尋ねてくる。「何でこの日に動くと分かったんだ。休日でもない週初めの月曜日、しかも昼間から仕事抜け出すにしてもおかしくないか。」「確かに事務所で勤める事務職の彼女にとって8時から17時は定時で決算がある3月と年末の調整意外は残業とは縁が遠い。しかし旦那さんの言葉よく振り返って下さいよ、簡単です。」
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