赤い便箋と真っ白な便箋

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赤い便箋と真っ白な便箋

赤い封筒を眺めているだけでは満足できなくなってしまった俺はとうとう… どうしても赤い封筒の中身が見たくなってしまい机の上の勉強したままのノートやテキストをそのまま封筒を持っていないもう片方の右手で雑にまとめて机の上を片付けた。 そこに赤い封筒を置き暫くはいつもの様にそのまま眺めていた。 しかし気になる...やはり中身が気になってしまう。 赤い封筒には当然のことながら封がされていてそのままでは中身を確認する事はできない。 しかしその厚みから中には確実に何かが入っているというのは手に取れば容易に分かる。 俺は中身を見たいと欲望には勝てずに封を破ってその中身を見てしまった。 中には赤…いや赤よりももっと濃くて暗い赤... 赤黒い色で統一された便箋が数枚とその中にひときわ目立つ真っ白な便箋が1枚入っていた。 その真っ白な便箋は当然俺の興味を引き逆に赤黒い数枚の便箋はその異様さが際立って見えた。 興味と恐怖とその異様さが絡まりとても複雑な思いが込み上げてきた。 当然俺は複数ある赤い便箋よりも真っ白でひときわ目立っている便箋を手に取りそこに書かれている文を読んだ。 その真っ白な便箋にはとてもキレイな字でこう書かれていた。 『ルールは大きく分けて2つ。  1つ、文末は必ず統一する事。  2つ、必ず法則にしたがった方法で書く事。  ※法則とは、便箋の間の行は絶対に空けない事。   人名と固有名詞は書かない事の2つ。  結果に対して文句は言えない。  取り消しは絶対に出来ない。  誤字の無いように書く事。 どんな事も同じだけの価値がある。 その事を努々忘れないように。』 と書いてあった。 ルール? 一体何のルール何だろう? 文末は統一する事とあるので作文か何かの応募の仕方なのかな? と思って読んでいたら最後の方の文に違和感を覚えた。 何とも言えないモヤモヤ感と得体のしれない恐怖を同時に覚えた。 そのまま真っ白な便箋に書かれている文の意味を考えてどういった意味なんだろう? 裏や隅々まで見たが他に文字は何も書かれていない様に思える。 念の為ライトに透かしても見たが最初の文以外は何も書かれていない。 一緒に入っていた他の赤い便箋はパッと見では何も書かれていないように見えるのでそのまま真っ白な便箋を眺めてその文の意味する事を考えていた… そうこうしているうちに眠たくなって来たので続きは明日にしようと思い出した便箋を赤い封筒へしまう事にした。 その時… 1枚の赤い便箋に違和感を覚えた。 しかし既に眠さがピークに達していたのでそのままその違和感はスルーして元にしまい封をして引き出しへとしまった。
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