宮司さんの話

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武将は村に戻りこのことを告げました。 疑わしくも他に道はなかったのでしょう。 皆は散り散りに村を離れ、その村には武将とその妻、娘が一人。 家老夫婦と子供が二人残りました。 五年が過ぎたとき、見たこともない美しい赤い大きな花がひとつ 館の庭に咲いたのを、家老の妻が見つけて大きな声をあげました。 皆が見守る中、 花は良い香りを残し、見る間に散ったと言います。 その日から次々と、この大きな良い香りの花は咲いては散っていきました。 その数が、村を出て行った一族の数になった時、 武将は自分以外のものを、外に行かす決心をしたのです。 その頃はもう村に来てもう二百年過ぎてしまっていました。
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