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「ふわぁ」
俺は、ぼんやりとした頭で再び大アクビをしながらベッドの周囲を見渡した。
と…
部屋の床中に、俺が着ていた背広やらズボンやらワイシャツやらが散乱している様子が見て取れた。
昨夜の俺は川上と別れた後、自分のアパートに帰宅するなり、あまりの眠気に着ていた服を辺り一面、脱ぎ散らかし、そのままベッドにダイブしたみたいだ。
「やれやれ…我ながら、だらしない事で…」
俺は、のろのろとベッドから出ると、それらの衣類を片付け始めた…。
のだが…
「えっ?」
一瞬、手が止まった。
ワイシャツに…
真っ赤なキスマークが…
ばっちりと、
付いている…。
「な、何だっ?!」
俺は、驚いた!
こんなキスマーク…
一体…
いつ、付いたのだろう…。
確かに、昨夜は俺も川上も結構、飲んだが二人とも酒は強い方だと思う。
少なくとも俺は、川上と別れて終電に乗るところまでは、割りとはっきり記憶している。
昨夜は、男二人だけで居酒屋に行った訳だし…
スナックやキャバクラなど、女の子がいる店には全く行っていない。
だとすると…
終電の車内で、誰かに付けられたのだろうか…。
昨夜の俺は、電車のシートに腰を下ろすと、少しの間、眠ってしまっていた。
でも…
昨夜の終電の車内だが…
週末とは言え、それほど混雑していなかったように思う。
現に、俺が目を覚まして電車を降りた時も、俺が座っていたシートには、他の乗客は一人も座っていなかったのではないだろうか。
まあ、俺がシートで眠りこけてる間に酔った女性客が乗り込んで来て、俺の隣に座り、ワイシャツにキスマークを付けて、俺が目を覚ます前に電車を降りてしまったと言う可能性も…
有るには、有るが…。
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