プロローグ「それは突然に」

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プロローグ「それは突然に」

『アイドル』。TVやライブで輝いているその人達に憧れていた時期が、私にもあった。 歌ったり、踊ったり。ドラマや映画で演じたり。時には写真集も出したりして。最近はバラエティー番組にもレギュラーで出演しているのをよく見かける。……いや、昔から出ていたっけか。 かくいう私も、もう数十年程前の話だがその『アイドル』の内の1人だった。 実際に『アイドル』になって―そして、『アイドル』の現実を知った1人。それが私だ。 私が所属していたユニットは、たった1人の『未成年喫煙』という不祥事が原因で解散せざるを得なくなった。未成年でタバコを吸った当人はもちろん―当時そのユニットでユニットリーダーを務めていた私にも責任があるとされ、『アイドル』を『引退』しなければならなくなった。 今思えば、私は何も悪くないような気がする。だが、世間の目は厳しい。 私が『アイドル』だった頃から、こういった『アイドル』の不祥事はもちろんあった。だが最近、その『アイドル』の不祥事が増えている事を私は知っている。 そして、その不祥事を起こした『アイドル』達の殆どが―この『星架芸能専門学校 アイドル科』の卒業生であることも、知っている。
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