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イデアはさらにこう続けた。
「確かに、『個性豊かなメンバーが揃うユニット』というのは強みにはなります。ですが同時にそれは弱点にもなりえるのだと、イデアは思うのです。あまりに一人ひとりの個性がバラバラすぎると、いつか衝突が起きてしまって、最悪メンバー間の仲が原因で『解散』も有り得てしまうのですよ?」
「『解散』!?」
イデアの言葉に陽輝が驚いたようにそう返すと、イデアは「はい」と頷いた。
「……ですが、そうならない為の『策』もあるのです」
「『策』? 何か『策』があるのか?」
続けて言ったイデアの言葉に幹大がそう返すと、イデアはまた「はい」と頷いた。
「教えてくれ。俺達はどうすればいい?」
幹大がそう聞くと、イデアは「はい、イデア、教えますー」と頷き、続けてこう言った。
「鍵を握るのは、ユニットリーダーである『ミキヒロ』と、プロデューサーである『ツキコ』の2人なのです」
「……え?」
「私も、ですか……!?」
イデアの言葉に、指名された幹大と月子が驚いたようにそう返すと、イデアは「はいー」と頷いた。
「ミキヒロがどうやってハルキとアオシをまとめ、引っ張っていくか。そして、それをツキコがプロデューサーとしてどうやって支えていくか。それが、『Liberte』がこれからユニットとして活動し続けていけるか否かの『鍵』となるのです。上手くいけば、ちゃんとした『個性豊かなメンバーが揃うアイドルユニット』として、寧ろ一躍有名になれるのですよー」
「そうなのか!?」
「そうですよーハルキ。……ですがもちろん、ハルキやアオシも努力は必要なのです。でなければ、どれだけミキヒロやツキコが頑張っても、意味がないのですー」
陽輝の返答にイデアがそう返すと、陽輝は「そっか……」と返した。
「……っしゃあ! 俄然燃えてきたぁ!! 俺、頑張るよ! だから幹大君も月子ちゃんも、一緒に頑張ろうな! あっ、勿論蒼紫も!」
いつにも増してやる気が出てきた陽輝を見ながら、私は少し微笑ましい気持ちになった。
幹大は陽輝を見て軽く溜息を吐いてから「ああ」と返事をし、月子は明るい笑顔で「はい!」と返事をした。
「……ありがとう、イデア」
昼休みが終わる15分前、移動教室の為その場を立ち去ろうとするイデアに向かって、私はそう言った。
少しの沈黙の後、イデアはこちらを振り向いて「いえー」と穏やかな笑みを浮かべながら返した。
「お礼を言われるような事はしていないですー。イデアはイデアの意見をただ述べただけなのですよー? ……それに」
「それに?」
イデアの言葉に私がそう返すと、イデアは更に微笑んで言った。
「本当は、先生は気づいていたのではないですか? 『Liberte』の『弱点』にー」
……イデアのいう通りだった。心のどこかで、私は気づいていた。まさかイデアに言われるとは思っていなかったのだが。
「……君にはお見通しなんだね、イデア」
少し苦笑しながら私がそう言うと、イデアは「イデアはなんでも知ってますからー」と笑いながら言った。
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