第1章「個性のLiberte」

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翌日の昼休み。 私は食堂で幹大と月子とご飯を食べながら、今後の活動予定に関しての話し合いをしていた。 「自己紹介動画がきっかけでイベントの出演依頼が来るかもしれない」とか、「『Liberte』の曲を考えないと」とか。考える事は山ほどあった。 幸い食堂は人がまばらで、集中して話し合いをする事が出来ていた……が。 「なあ、ところで聞いたか? この学校が『閉校』するかもしれないって話」 隣の席に座っていた3人の生徒が、そんな話をし始めた。私も幹大も月子も、思わず話すのをやめて話の内容を聞いてしまった。 「あー聞いた聞いた。『アイドル科』の卒業生達が問題起こしすぎて、入学してくる人が少なくなったから『閉校』するかもしれない、ってやつだろ?」 「そうそう。俺達『俳優/声優科』も新入生が少なかったしな」 「うち的にはマジ勘弁してほしいっつーか。ってか、そもそも『アイドル科』が悪いだけなんだからさー。『アイドル科』なんてなくなっちゃえばいいんじゃね?」 「俺もそう思ったんだけど、結局そこが信用できないから他の奴らもいつか問題起こすんじゃねぇかって思われてんだろ多分」 「ハァー? 最悪じゃん! どうせ今いる『アイドル科』の奴らも卒業したら問題起こすっしょ絶対」 そこまで聞こえてきたところで、ふと生徒の1人が私達に気づいたようで、「おい、やべえぞ」と慌てて小声で他2人に訴えた。2人も「やばっ、絶対聞かれたじゃん」「逃げるぞ」と小声で話し、その後3人は逃げるようにその席から立ち去った。 ―……何も、言えなかった。……何も、言い返せなかった。……俯く事しか、出来なかった。 それはおそらく、幹大も月子も同じだろう。月子にいたっては少し震えている様子だった。正直、私も少し震えていた。 確かに彼らの言っている事は『事実』だし『正しい』と思う。だが、最後に聞こえた一言。それだけは『否定』したかった。 ―どうせ今いる『アイドル科』の生徒も、卒業したら問題を起こす。 違う。そんな事ない。……心ではそう思っていても、どこか奥の方で『疑っている』自分がいた。 もしも、幹大が、陽輝が、蒼紫が。もしくは他の生徒が、何かしらの『不祥事』を起こしてしまったら。それでさらに新入生が減ってしまったら。否、そもそも『10ユニット全てが有名になれなかったら』。 「大丈夫だ」 ふと、幹大のそんな声が聞こえてきた。私はハッとして顔をあげた。
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