27人が本棚に入れています
本棚に追加
その全てが奈乃葉を形づくっているのだろうか。そう思っていると、あっという間に部屋に着いた。
玄関を入って右の廊下の三番目の角を左。
その手前にある和室。
迷路のような屋敷だ。
障子を開けるとき、妙に緊張したが開けてみると普通の部屋だった。
畳があり、生け花が飾ってある。
「ここですよ」
「わざわざお部屋までありがとうございます。」
ペコリと頭を下げる。
「あ、るうらさんが寝るのはあの布団ですからね?」
奈乃葉の指をたどると、枕の右と左にカミソリが立ててある布団が目に入った。
「え!?」
カミソリのある布団。
当たり前だが今まで寝たことがない。
「るうらさんはかなり寝相が悪いそうじゃないですか。
少しは寝相を良くしなくてはね?」
いや、それが目的なのか。
初めて自分の寝相の悪さを恨んだ。
お前...もう少し大人しくしてろっ
頭に叩き込む。
「恐怖心が増幅するでしょう?」
ニヤニヤと笑う奈乃葉を見て、るうらの頭にはあることが思い浮かんだ。
「人の恐怖に脅えた顔...何度思い出してもたまらないですっ...」
キャー、と頬を赤らめている。
やはり奈乃葉は...
人の恐怖を見て喜ぶ...サディストだ。
「るうらさんの軌道のブレはこれから治していきます。」
「覚悟してくださいねぇ???」
最初のコメントを投稿しよう!