任務1

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「覚悟をしないで師匠のもとには来ませんよ。私は諦めが悪く、完璧主義者なんです。 強くなるまで、奈乃葉さんに勝てるようになるまで、この三川邸を離れません。」 奈乃葉の笑みをはね飛ばすように見つめる。 奈乃葉は満足そうに笑って言った。 「ふふふ、さぁ、早速修行です。武道場に移動しますよ?」 「はい」 いったいこの屋敷にはどれだけの施設があるのだろうか。 長い廊下を歩く姿も様になる。 自信があり、それを自慢せず、常に謙虚。 奈乃葉は、ナイトの教育のお手本みたい... るうらがそんなことを考えていると、 奈乃葉はふと足を止めた。 「るうらさん。」 「あ、はいっ」 「この三川邸はナイトとシーク、どちらの領土だと思いますか?」 少々驚きながら、頭をはたらかせる。 「...ナイトでしょうか。」 「残念ながら外れです。」 奈乃葉は笑顔を絶やさない。 その笑みは余裕か...緊張か...喜びか... 「ではシークなのですか?」 もしシークだったら...私はナイトの人間だ。 師匠を殺さなくてはならない。 ごくり、と生唾を飲む。 「そんなことはありませんよ。」 ふふふ、とまた微笑んだ。 「...え。では何なのですか?」 「...この日本にはナイト、シークだけでなく もうひとつのグループがあるのです。」 「ナイト、シークだけでない...」 「はい。そのもうひとつのグループを “ブランク”と言います。 ブランクはナイト側でもなくシーク側でもありません。 常に中立の位置を保ってきたのです。」 “白紙(ブランク)” 白紙の国。 「ナイトとシークの中立ですか。ブランクという名前は聞いたことないのですが」 「それもそのはずです。最初は中立で上手くいっていたのですが、ブランクの領土の白岡高等学園の生徒はとても優秀だと有名になってしまったのです。 その噂はナイトとシークにも広まった。 そのため、ナイトもシークもブランクを滅ぼそうと狙っているのです。 ナイトとシークは“ブランク”という存在をかき消しているのでしょうね。」 「だから聞いたことがなかった...」 二人は黙り混む。 「でも父上は、師匠を紹介してくれました。ナイトの創設者がブランクの師匠を紹介するでしょうか?」 「るうらさんの父上とは古くからの親交がありますからね。 表面上では犬猿の仲ですが、内面はそうではないのです。」 白岡高等学園。 私はそこにスパイとして潜り込む。 そのことを奈乃葉は知っているのだろうか? 「あぁ、無駄話が過ぎましたね。ほら、行きますよ。」 ナイト、シーク、そしてブランク。 ナイトは武力に富んでいる。 シークは知能が高い。 じゃあブランクは...? 白岡高等学園は武力も知能も容姿も兼ね備えていると聞いている。 実際にブランクの奈乃葉を見ると、 どれも兼ね備えている。 もしかしてブランクは完璧な人種なのでは。 るうらは、完全な武力型だ。 それが学校の人間にバレたら大変なことになる。 知能も高めなくては。 よし。 今後の方針を再確認したるうらは奈乃葉を追いかける。
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