三度目のキスは甘く

20/32
前へ
/32ページ
次へ
 楽し気な隼人の顔を見ると、ついこちらも笑顔になる。  伸は、なんだか隼人が古くからの親友であるような心地になっていた。  学校で話題になるのは、どうしてもテストや順位、偏差値のことばかり。  進学校なので仕方がないが、ひとつでも順位を上げたい、少しでも他者を追い抜きたいとやっきになる友人たちには、違和感を覚えていた。  隼人は違う。  バイクという生きがいを持ち、青春らしい青春を楽しんでいるのだ。  そんな風に感じた時、隼人がぽつりと言った。 「あ~、何だか俺、死ぬのが惜しくなってきた」 「死ぬ!?」  伸は、がばりとベッドから起き上がった。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

233人が本棚に入れています
本棚に追加