01 五秒の思考で魅力に気付いて

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 歓喜をしてしまったせいで、膝から崩れ落ちた。五秒時間が止まったところでどうしろというのだ。そんなの、せいぜいパンツを拝むくらいしかできないではないか。パンツで満足できるほど、今の高校生は純情ではない。 「これだけでも世紀の発明なのに、そんな反応をしてくれるのはよっくんだけっすよ。五秒だけでも十分な時間と思うんすけど、どうっすか? つけてみません?」 「確かにパンツを見るだけなら十分な時間だけどよ……。お前が俺にそう言うってことは、まだ試作段階なんだろ? 今回はどんな問題点があるんだよ」  彩江が、制服の上から羽織っている白衣のポケットからコンタクトケースを取り出した。新たな発明品だというケースを開き中に入っていたレンズを手に取ってみる。縁が黒く塗られたお目目ぱっちりタイプのようだが、それ以外特筆するようなものは何もない。 「その黒縁の部分に様々なマイクロテクノロジーが組み込まれていて、視覚から脳の感覚野に作用するようになってるっす。厳密には思考の方が加速するもので、本人の動きも一緒に停まってしまいます。ですがそれをつければ、人よりも五秒間長く世界を見ている感覚になれます。問題は脳に膨大な負担をかけるので、理論上五秒以上停めようとすると脳が溶けることっすかね」
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