01 五秒の思考で魅力に気付いて

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「本当にパンツを見る以外に使い道なくないか? しかもたかがパンツのために俺は脳が溶けるかもしれないリスクを背負ってこれをつけなけりゃならんのか?」 「パンツを見る以外にもたくさん使い道はあるっすよ。というか、人よりも五秒世界を長く見られることがどれだけ凄いことかを理解するためにもつけてください」  ぐるぐる眼鏡の奥の瞳が、いつもからは感じることのできない圧を放っている。珍しく強引なので、恐らく発明品の性能以上の何かがあるのだろうが、リスクが大きすぎるのでやっぱり躊躇う。 「これをつけたら、俺には五秒長く世界を見る以外になにかリターンがあるのかい?」 「ウチのパンツを見ることができるっす。まぁ、素敵」 「いや、興味ないんだけど」 「おい、お前のために絞り出したウチの乙女心に謝れよ。よっくんに対して羞恥心とかほとんどないけど、興味ないとかうら若きJKに失礼っす!」 「お前がうら若きJKに謝れよ」  全体像を眺めながらツッコむ。  目の前にいるのは、癖っ毛でぼさぼさのロングヘアーに分厚いぐるぐる眼鏡。制服の上から羽織ったよれよれの白衣。外に出る時間の方が少ないおかげでかろうじて肌が綺麗なだけで、女子力は欠片もない。本物のうら若きJKというのは、もっとキラキラしているものだ。  俺が言うと、彩江は頬を膨らませながら俺のことを睨み返してくる。
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