01 五秒の思考で魅力に気付いて

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「つべこべ言わずにこれをつけて、ウチを見ろー!」  やがて爆発したように叫んだ。こうなった時の彩江は面倒くさい。最終的にはクロロホルムを吸わせて無理やりということも考えられるので、俺は強引な彼女に違和感を抱きながらも、諦めて要求を呑むことにした。 「ちなみに、コンタクトをつけただけでは時間は停まらないっす。つけた後、停まれと言って下さい。そうすると、音声を認証してその後の五秒間景色が停まって見えます。それが過ぎたら、元通りに動き始めます。一応その状態はコンタクトをつけていればいつでも発動するようになっていますが、セーフティ機能として、使用後十分間は停まれと言っても発動はしません。脳が溶けないようにね」  彩江の注意事項を聞きながら、コンタクトを目に入れる。彩江とは違い健やかに育ったおかげで、視力は裸眼で両目とも1.0ある。度は入っていないようで、見え方が変わることはなかったが、目の中に物が入っている違和感は拭えなかった。 「どうっすか? 見え方の違和感、身体の調子。吐き気や頭痛等はありませんか?」 「あぁ、問題ないよ。始めていいか?」 「はい。ちゃんと、ウチの方を見てくださいよ?」  念を押す彩江。よくわからないが、とりあえず言われた通り彩江を視界に入れて唱えようとする。
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