朝顔

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夏の強い日差しが一軒の窓へ燦燦と降り注ぐ。陽射しは誰の元にも公平だ。それは花壇に植えられた支柱に巻きついた朝顔もまた然り。 生きているうちは公平に陽射しは降りそそぐ。しかし残念ながら、少女が太陽の恩恵を受けれる日まであと数時間か。 息荒く真っ青な顔をした少女は、まるで何かにとりつかれたかのように、買い与えられたスケッチブックにクレヨンで絵を描いていた。 白い紙には黒い線で沢山の大きな円。その円は何も塗られていないものと、青色に塗られた円が混在する絵。それはよくある子供の落書きにしか見えない。しかし少女にとっては朝顔と、自分の両親の顔の絵であった。 。
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