introduction

3/3
前へ
/225ページ
次へ
ストレスにささくれ立った心が少しだけ凪ぐ。 携帯の時計を確認すると、午後9時。 そろそろ時間だ。 行き交う人の流れに目を凝らすと、流れに翻弄される落ち葉のようにくるくると回転しながら誰かを探している風の人物を見つける。 ハリーポッターみてえな癖のある黒髪に丸い眼鏡。周りの人間より5センチくらい背が低い。目印の深緑の半袖Tシャツ。 今夜の相手はたぶんコイツだ。 BGMに耳を傾ける。ダニエル・パウターのアルバムは次の曲に移っていた。 ハリーポッターに似てるし、仮名をダニエルとしよう。名前は覚えちゃいないが、今夜だけ使える呼び名さえあればいい。 どうせ今日セックスしたらもう会うこともないんだから。
/225ページ

最初のコメントを投稿しよう!

172人が本棚に入れています
本棚に追加