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「じゃあな、嫁さんしっかり捕まえとけ」
ホテルの前で別れる前に言っといた。
俺の姉ちゃんみたいになるなよ。
ガキの頃親が死んで、親戚の家を転々とした後は、歳の離れた姉ちゃんが俺を養ってた。
あの歌の女みたいに"充分稼ぎ、疲れ果てることもなく、負けるのを認めることもない"女だった。
それでもアッサリ逝っちまったんだからな。
「がんばるよ。今日はありがとう」
谷垣はあの柔らかな笑みを浮かべる。それから手に指輪を光らせ、帰路に着くのだった。
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