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恋の視線
視線を感じたのは、教育実習が始まって割とすぐだった。
放課後、校舎の二階の窓から先生が陸上部の練習をこっそり見ていることに気が付いた。
クリーム色のカーテンが風にはためいて、その合間合間に濡れた瞳の水嶋先生の美人な顔が見え隠れするのが、なかなか絵になっていた。まるでドラマのワンシーンみたいじゃないかとうっとりしたぜ。最初は俺を見てくれているのかと自意識過剰に思ったが、俺のことは一瞬見るものの、すぐにその視線が外れていくので癪に障った。
誰、見てるんだよ?
先生の視線を辿って行くと、陸上部の顧問の笠井先生にぶつかった。
何でそんな目で見るんだ?
懐かしそうな目……情熱の籠った目……まさかな。
笠井先生は結婚して子供もいるし、男を相手にするとは思えない。
でも水嶋先生が高校生の時は独身だった。
もしかして笠井先生のこと好きだったのか。水嶋先生の高校時代の切なく悲しい涙の理由を探し続けていたが、そこでストンと落ち納得してしまった。
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