平々凡々のわたし

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店員さんにお礼を言ってロコモコ丼2つを受け取ると、全身黒づくめの彼と、ケータリングカーから少し離れたところに来た。 「あの、これ」 そう言ってロコモコ丼を差し出した。 全身黒づくめの彼は、サングラスに黒のキャップをかぶっていて、正面から見ても黒づくめだった。 「…すみません。財布が見つからなくて」 そんなことだろうと思った。 どこかに落としてきたのか、はたまた盗まれたのか。 とにかく面倒ごとには巻き込まれたくないから深くは突っ込まない。 「いいです、気にしないでください」 そう言ってビニール袋ごと押し出す。 彼は申し訳なさそうにおずおずとそれを受け取った。 「女性に払ってもらうなんて」 「これは仕方ないです。緊急事態だったんですから」 見上げた彼はサングラスとキャップでほとんどわからなかったが、びっくりするくらい小顔だった。 ダイエットとかそういうんじゃなく、生まれ持った顔が特別だった、そんな感じだ。 一瞬じっと見つめてしまったが、私には関係ないことだ。 「じゃあ…」 私はそう言ってペコリと頭を下げる。 「ほんとにありがとう…!」 彼もそう言って同じように頭を下げた。
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