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僕は一瞬めまいに襲われた。ガンッと頭をぶつけられたかのように、頭の中が真っ白になった。そして頭のどこか白い背景に家族の顔が思い浮かんでくる。その中心を母さんが大きく占めていた。優しく、目を細めながらも着実に僕を眼中に収めている彼女の顔はまるで大地のように偉大な感じがした。
「あなたは死にたいと思っていました。というより死んでいると自分を見なしていました。そうでしょう?」
「なぜそれを?」
驚きのあまり僕は彼女から数歩離れた。そもそも僕が勝手に彼女を抱きしめてしまったのだけれど。
「わかりません。ここ数日の夢を見たんです。ただ、あなたかどうかはわかりませんが・・・」
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