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「んっ……?和奏さん、おはよう。もう朝か」
寝ぼけた様子で伸びをした博士は机の上を惨事を見て
「うわっ!」
と声をあげた。
「何だ。これは」
「博士、昨日ワインボトルを机に置いたままここで寝ちゃったんじゃないですか?」
私の言葉にはっとした様子で、博士は
「やってしまった」
と頭を抱えた。
「大丈夫です。論文は後ほどまた印刷しますから。気を付けてくださいね。それと、博士。新城さん……と言う方がお越しになってます」
ちらりと私が視線を移すと、博士はその視線の先を追った。
「おぉ!大輔くん!来てたのか!」
嬉しそうに椅子から立ち上がった博士は、紫に染まった服などお構いなしというように、ワインボトルを握ったままの彼に近づきハグを交わそうとした。
「いや、博士!それは……」
思わずあとずさりした彼を見て、博士は
「あっ、すまない!話は着替えてからにしよう。和奏さん、悪いがお茶を用意してもらっても良いかな?」
と私に声をかけ部屋を出て行った。
「いつもあんな感じ?」
戸惑う彼に
「だから、“道楽博士”なんて呼ばれちゃうんですかね?」
と私は苦笑いを浮かべた。
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