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「へー近代史に?」
「いや、そっちじゃなくて」
「えっ?」
「僕も作りたいんだ。タイムマシーンを」
一瞬何を言っているか分からず私は、彼の目を凝視した。
「僕はできると思ってるよ。タイムマシーン」
何とも言えない沈黙が流れた。
「いやー!ごめんごめん。お待たせしちゃって。あれ?二人ともどうしたの?」
博士のその言葉がなかったら私はあと何秒、黙り込んでいただろうか。
はっとして
「すみません。すぐ、お茶用意します」
と部屋を出ると、大きく息を吐いた。
「厄介な人がもう一人増えた……」
思わずそうこぼした後、ため息が出た。
お茶を出す頃には二人ともワイワイと未来だの過去だの語り始めていて、私が入り込む余地などない様子だった。
「いやー!こんなに話を分かってくれる子が入ってくれて嬉しいよ。ねっ、和奏さん」
ご機嫌でこちらを見た博士に
「そうですねー」
と愛想笑いを浮かべると、すべてを見透かしたように大輔さんは小さく笑った。
「ここに来るまでは少し不安だったんですが、うまくやっていけそうです。無理に話を合わせたりしなくても大丈夫そうだし」
この人、今ほんのり私への嫌味を織り交ぜた?
そんなひっかかりを頭の中で整理するより前に
「僕はそういうの全然求めてないから!思ってることはざっくばらんに言ってくれ。ねっ、和奏さん!」
と続いた博士の言葉で、私は考えることを放棄し、半分裏返った声で
「そうですねー!」
と返した。
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