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親友の存在
ーー20XX年
俺には親友がいた。
士官学校からの同期で、共に卒業した。そして、この国の軍へと入隊した。
俺達二人は別々の部隊に配属された。だが、切磋琢磨して二人とも同時期にそれぞれ部隊の隊長へ上り詰めた。
俺は陸軍。親友は空軍。かつて存在した自衛隊などひとかけらも残っていない、この国の軍で。
他の同期とは連絡もしなくなったが、親友とは連絡を取り続けた。それは損得感情などではなく、馬が合ったからだ。
親友が結婚をした時。俺が嫁を見つけた時。訓練で怪我をした時。昇格をした時。
互いが互いの事を自分に起きた出来事のように喜び、心配をした。
同時に競い合った。
どちらがよりそれぞれの地位を確立できるか。
結論から言えば親友の方が地位は高かった。階級も、友人の数も、酒の強さも、実力も。
だが、今となってはどうでもいい話だ。
なぜならば、【彼】はもうこの世には存在しないのだから。
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