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「大丈夫?」
声をかけると女子高生は心底おびえた顔をした。
俺は彼女の顔を毎日見ていて、知り合いになった気分だったけど、彼女にとっては俺は毎日通り過ぎるものの一つで、認識すらしていない。
そんなものから話しかけられたら、そりゃ驚くだろう。
とあとでマサさんにこっぴどく怒られた。
言われてみればその通りかもしれない。
「あれで、あの子がもうここを使うのが嫌になったらどうするの?!」
マサさんの言う通りだ。というか、昔働いていたときも同じことを言われていた。
「あなたのせいであの子が学校に来なくなったらどうするの?!」
責任の取りようのないことを責められて、どうしても解決できないことを責められて、苦しいだけだ。
「余計なことに首突っ込むなよ」
じいさんから言われたことがようやくわかった。
人の心配ができて世話ができる人は自分の心に余裕がある人だけなのだと余裕もない自分が首をつっこんでも、悪化させることにしかならない、と。
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