いつもの朝

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いつもの朝

「おはようございます!」 こちらとしては、少しでも元気を与えてあげられれば、と努めて明るい声を出している。 本当はこっちもさわやかになんてやりたくはない。 毎朝、同じ時間に同じ人がやってくる。 カラカラとチェーンを鳴らして、職場や学校に行くために、電車に乗るために、家からこの駐輪場までやってくる。 俺は、ここの管理人だ。 同じ職場には70代のじいさんばあさんしかいない中、俺は唯一の齢30。 唯一というかほかの駐輪場と比べても僕は異様に若い。 基本ここには定年退職した人しか来ない。 退職した人たちの再就職先として作られた駐輪場の管理人。 聞こえはいいが、よぼよぼとした老い先短い人間ならこの卑劣な労働環境にも文句は言うまいという上からの思惑が透けて見える。 一日中立ちっぱなしで、ただひたすらに駐輪場に来る人を眺めるだけの仕事。座る場所はないので、そこらへんにパイプ椅子を置いて座る。 まあ、それもじいさんたち優先なので俺は立っていることが多い。 事務所にはエアコンがないので、夏は暑くて冬は寒い。 朝は6時から14時まで。 14時から22時までの昼勤務と22時から朝6時までの夜勤務。 昼勤務が人気なのだが、じいさんばあさんたちが優先なので昼勤務はしたことがない。 だいたい朝勤務か夜勤務だ。 そしてあの人たちは朝も早いので、俺は夜勤務が一番多い。
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