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体はひとつにならなくても
僕と舞衣が過ごした一夜は
二人の関係を確固足るのものにするには
充分すぎる時間だった。
まさかこんな小さなシングルベッドで
二人、同じ時間を共有するなんて
考えてもいなかった。
出来ればもう少しムードのある状況で、などと
でもそれは僕と舞衣だから体感できた時間であり
かけがえのない思い出となることだろう。
そんなことを考えながら
舞衣のあどけない寝顔を眺めていた。
いつもそれなりにバッチリメイクをしていた
舞衣の飾らないすっぴんを見るにつれ
ようやく二人は心も体も何一つ隠さずに
さらすことが出来るようになったんだ、
飾ることも蓋をすることもない
ありのままの自分をお互いに見せ合える。
体の関係なんてそんなのに比べると
ちっぽけなことだ
それはまたそんな機会があれば
何も臆することなく
ひとつになれるだろう…
そしてこれからも
と、この時は何の疑いも持っていなかった。
翌朝、二人でコンビニまで歩いて
朝食を調達した。
道端の野草に朝露が光る歩道の
凛とした朝の空気がとても心地よかった。
「何か、新婚夫婦みたい」
「早起きな夫婦だね」
「健康的だもん、わたしたち」
また夜まで舞衣と共に時間を過ごせる、
それは確かに夫婦のような心地よさだった。
その後もまだ女の子の日が終わらない舞衣と
やはり昨日のように結ばれぬまま求め合った。
それはごく自然なことではあったが
これからも舞衣と過ごす時間の中では
欠かすことのないルーティンとして
加えられることになるのだろう。
ならばこの先は…?
僕たちがひとつに結ばれたその先に
二人は何を求めて前に進むのだろう?
それはきっとその時にならなければわからない
そして今は舞衣との時間を大切にしよう
こうして二人だけしか知らない2日間は
静かに穏やかに…時に激しく過ぎていった。
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