【1】私は荊棘

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でもどうせ断られる。 剣は自分の利益にならない事はしない主義だ。 私は端であるG組の教室まで行くと、開いてるドアからそうっと中を覗いてみる。 するとG組は煩わしいくらいの人でゴチャゴチャしていた。 カーストトップともなると、休み時間の度にこうやって他クラスからも人が集まるものなのか。 私と翠とは雲泥の差。 そしてこんなに人が居るというのに、こうして私が教室を覗いたとしても、誰一人声を掛けてくれる人はいないのだ。 まずこの人混み。 どこに剣がいるのか全く目視不可能。 でも多分その中心にいるのは間違いないだろう。 「終夜 剣!!」 私は入口から大きな声を出す。 翠は図体がデカいくせに、人に圧倒されたのか、ビクビクと私の後ろで身を縮めている。 .
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