【1】私は荊棘

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フッとカッコ良く決めに決めた台詞。 エスカレーター式を蹴って別の大学に進学する私。 翠はポカンと口を開けた後、意味を理解したらしい。 「ええっ!!」 「煩いな。」 「だ、だって荊棘さんがっ!!」 「もう決めてるの。 翠だけに教えたんだから誰にも言わないでね。」 私はサラリと答える。 大学付属のこの学校では、受験生でも気楽に過ごしている生徒が殆どだ。 翠は余りにショックだったのか、その後は無言で教科書を見つめていた。 放課後、校庭20周でさえ文句も言わず、ただ翠はひたすら走る。 私はテスト前の無人と化した校庭で、その走りをぼんやり見つめていた。 .
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