【1】私は荊棘

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「またデブを走らせてんのかよ。 おまえも大概ドSだな。」 すると背後から聞き覚えのあるいけ好かない声が近付いてきて、その声の主は許可もなく私の横に立った。 別に許可はコイツ以外は必要ないんだけれど。 「何?何の用?」 私は不快感を隠さず横を見上げる。 剣はそんな私をフンと鼻で笑った。 「さっきはよくもやってくれたな。」 テスト前日に学年一位の余裕なのか、剣はTシャツにバスパン姿。 体育館でバスケットでもしているんだろう。 「断れないあんたが悪い。」 「別に今からだって断れるんだぜ?」 「じゃあ断れば?」 翠には悪いけれど、私がコイツのご機嫌を取る筋合いはない。 .
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