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「それは今日が俺にとって何よりも重要な日だからだよ…。」
そして剣はどうしてか苦しそうに笑って、
「え?プロポーズ本番よりも?」
私の問いにコクンと小さく頷く。
私は驚きと動揺とで、パチパチと瞬きを繰り返し、ゴクンとカフェオレを飲んだ。
「俺にとって荊棘は…、
ある意味黒歴史で、ある意味青春そのものだ。
だから一番に報告したかったし、一番に祝福して欲しい存在なんだ。
だから気が許せるくらい仲良くなりたかった。」
「そ…、」
私は言葉に詰まる。
「荊棘からのおめでとうが、俺にとって何よりも大切で、そして、始まりだから…。」
この言葉の意味も、剣のその表情も、何一つ理解できなくても、
「わからないって顔してる…。
いいんだ…、わからないままでも。」
その重さだけは理解できた。
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