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剣と初めて会った日の事を、私は覚えていない。
それは剣もきっと同じ。
私たちはそれ程までに幼い頃に出会っていたから。
互いが互いを認識した時、それは幼稚園の年長だったか、それも定かではないけれど、ただ、私は剣を綺麗な人だと思った。
よく一緒に遊び、ケンカをした。
もしかしたらケンカばかりだったのかもしれないけれど、この頃の私はまだ剣が嫌いではなかった。
『俺…、荊棘が好き。』
『え?そうなの?』
小学校に上がり、ある程度の学年になると、マセた子供たちは男女のお付き合いというものに興味津々だ。
それは私も剣も例外ではなく、
『剣は私のどこが好きなの?』
『お人形みたいなところ。』
『え?お人形?』
『うん。お人形みたいに小さくて可愛いところ。』
『ふ、ふーん…。』
小学生ながらに小さいのがコンプレックスだった私は、ここで少しばかり剣が嫌いになったのは言うまでもないが。
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