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それでも本気で剣に恋焦がれていた訳じゃなかった。
まだこの時はカップルごっこを興じていただけ。
『別れよう。』
『え…?』
けれど付き合って二年が経ち、この言葉で初めて自分の気持ちに気が付いた。
『荊棘…、おまえとは遊びだよ。
俺が本気で好きになる筈ないだろ。』
『剣…?』
『ホントは大っ嫌いなんだよ。
顔も見たくないくらい。
虫唾が走る。』
自覚してすぐに砕け散った私の心。
踏み躙られた初恋。
消えたい…、
今すぐ消えてしまいたい…。
こんな風に何もかもどうでもよくなるくらい傷付いたのは、あの一度だけ。
あの一度だけ。
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